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感想【異人たち】現代風にリメイクされた「異人たちとの夏」、原作との良し悪しを考えてみるのも面白いかも。ネタバレ

(C) 2023 20th Century Studios. All Rights Reserved.

繁忙期が過ぎたので、空き時間を利用して映画鑑賞。気になったのは、小学校の頃に見た覚えのある「異人たちとの夏」をリメイクした「異人たち」。まったくストーリーを覚えていなかったけれど、復習することなく劇場へ。【ゲイ】という現代風の要素を取り入れつつ、無くなった両親と過去のかかわりを振り返りながら、新しい一歩を踏み出していく主人公。原作の独特な日本情緒はなくなったけど、より幅広く世界に受け入れられる作品になったのかもしれません。

【異人たち】のあらすじ

夜になると人の気配が遠のく、ロンドンのタワーマンションに一人暮らす脚本家アダムは、偶然同じマンションの謎めいた住人、ハリーの訪問で、ありふれた日常に変化が訪れる。ハリーとの関係が深まるにつれて、アダムは遠い子供の頃の世界に引き戻され、30年前に死別した両親が、そのままの姿で目の前に現れる。想像もしなかった再会に固く閉ざしていた心が解きほぐされていくのを感じるのだったが、その先には思いもしない世界が広がっていた…
※映画『異人たち』オフィシャルサイトより抜粋

 

同じマンションに住むハリーと恋仲になるアダム

【異人たち】の作品情報・キャスト

監督:アンドリュー・ヘイ
出演:
アダム(アンドリュー・スコット)/ロンドンのマンションに住む、脚本家。12歳のときに交通事故で両親を亡くして以来、孤独な人生を過ごしてきた。
ハリー(ポール・メスカル)/同じマンションの住人、ふとしたことをきっかけにアダムの部屋を訪問し恋仲になる。
アダムの父(ジェイミー・ベル)/公園で出会ったアダムを昔の家に招き、過去の関係性を振り返るきっかけをつくる。
アダムの母(レア・フォイ)/アダムとの過去の関係性を振り返り、自身の接する態度を反省しつつ、同性愛者である息子を受け入れる。
製作:2023年
上映時間:105分

 

【異人たち】の感想 ネタバレ注意

【ゲイ】というマイノリティな立場で、小学校時代はいじめを受けつつも両親に相談できなかったアダム。自分の部屋で泣いていたこともしばしばあったが、父親は息子の異変に気付きつつもあえて声をかけることはしなかった。理由は「自分も同級生だったら、いじめそうなタイプだったから――」。

生家を訪問したことをきっかけに、死別した両親との再会を果たす

大人として成長した後だからこそ、両親と向き合って自分の他とは異なる特性を伝えることもできたし、お互いに分かりあえることができた。一方が力量不足な場合(未成熟な子どもという立場)、親がある程度は全面的に歩み寄ることが必要なのだろうと考えさせられた。

童心に戻ってクリスマスの飾りつけを両親と楽しむアダム

原作でも、本作でも、既に他界した両親と改めて一緒に過ごす機会を持てたため、お互いのわだかまりを解消する機会が持てたが、現実ではこうはいかない。親とも、子どもとも、普段からしっかりコミュニケーションをとり、お互いに誤解を生まないような関係性を築くことが大切だと考えさせられた映画だった。

最終、ハリーの実態に気付いたアダムがその後どうなるのかは気になったが、原作の世界観を壊さずに、より幅広い層に訴えかけるリメイク作品になったのではないだろうか。